字が書ける!と字が書きたい!
勉強に時間がかかる。
綺麗に字が書けない。
ノートを書かない。
間違いやうまくできていないことを指摘すると怒る。
など勉強に関する相談の中でも、「字が書けない」ということへの心配はみなさん大きいようです。
確かに国語も算数も理科も宿題も、結局何をするにも「書く」事はついてきますから、それが難しいと、あらゆる活動に影響を与えてしまうことも事実です。
書けない→書ける
書けないという状況から、書けるという状況を作り出す事は
環境調整でかなりうまくいきます。
例えば・・・
◻︎ 姿勢のコントロールと手の動き
手をうまく動かすためには,姿勢がその手の動きを保障できることが重要です。
指一本でも動かそうと思えば 重心が変わります。
その小さな変化の度に、体がグネグネ、ガタガタしていては、スムーズに字を書く事は出来ません。
“姿勢” といっても、コントロールできない要因は様々。
自分が傾いていることに気づけていない(前庭感覚)や、重力に対して姿勢を保つ筋の緊張(姿勢筋緊張)が保てない、自分のお尻が設置している床や座面をうまく感じ取れない、無意識で姿勢をコントロールできることができないなど。
姿勢コントロールがスムーズにいかない要因がわかれば、それに対応できる椅子の環境や、立ってやる、座ってやる、立ち膝でやるなど、方法の検討で字は書けるようになります。
◻︎イメージしたことを手で表現する
自分が『こう書きたい』と頭でイメージできていても、それをイメージ通り再現できいなど,
表出の課題がある場合もあります。要因はこれも様々。
▷手の動きを感じ取れない:手をどんな風に動かしたら書けるのか分からず、目で見ることだけで必死に書かなくてはいけません。
▷指が鉛筆をうまく感じ取れない:鉛筆をどんな風に握ったらいいのか分からず、ギュッと握りしめたり、滑らないように握り込んだりしてしまい、字を書くための動作に繋がりません。
▷両手動作がうまくできない:字を書くためには、紙も押さえないといけませんね。右手の鉛筆操作に100%力を注いでしまっていたり、2つ以上の情報のコントロールに努力が必要だった場合、紙を押さえられず、字は上手に書けません。
◻︎書いている!を感じ取る
字を書き始めると、紙の質感や鉛筆の芯の柔らかさ、ペン先の形状を手が感じ取り、その机と紙と鉛筆の状態に対して、効果的に字が書けるよう微調整をしていきます。
鉛筆の持つ位置や、紙を抑える位置、置く位置を自然に調整できるのは、そうした働きからきていますが、この時「書いている」という感覚を手が繊細に感じ取れないとその調整が起こりません。
微調整が出来なければ、書くという動作を続けていくと、“不快感”や“苛立ち”を子供は感じ取ることになります。書くことがめんどくさい!字を書くの嫌い!といった誤学習につながってしまいます。
しかし、この「書ける」を保障しても
「書きたい」が育つ環境がなければ、上記環境調整は全く意味をなしません。
書けるの環境調整は、土に肥料を与えて耕し直すようなもので、そこに種を植えたとしても、「水」を与えなければ芽は枯れてしまいます。
その子にとって、毎日浴びていきたい「水」が何か?その水は注がれる生活環境にあるのか?そこが整わないうちは意味がないのです。
◻︎書きたい!の源を知る
その子が字を書く時に、何を気にしてためらうのか。書けた時に誰に見せにいきたがるのか。書けたワークブックをどんな風に持ち歩き、どこに置くのか。書けた時に“次!”が出るのか。
そんな子どもの心の声を知る手がかりを見ながら、その子にとっての「水」を知り、それがちゃんと注がれる環境づくりをしてから私達は“書けるの環境調整“をしていきます。
例えば・・・
ー クラス全体が先生に反発することに躍起になっているクラスがありました。このクラス内では,書けるようになってもそれが評価されません。その時はクラス全体が授業に楽しく参加して活躍できることにパワーを注げる環境づくりから先生と取り組むこともありました。
ー 親が子育てに不安が多すぎて、全てをマイナスの感じ取ってしまい、字が書けるようになったことを「些細なこと」と感じ向き合えずにいることがありました。お母さんと目標を明確にして「字が書ける」ということが、大切な未来につながる重要な一歩として,学校・家庭・学童のチームで共有し、向き合って認められるチームづくりから取り組むこともありました。
大切なことは
子どもの「書きたい」が育つ環境です。
「書ける」はが成長の糧になるのは,その環境という土台があるからだと思うのです。